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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
「はい!汗もかいたし汚しちゃいまして。よく、それで叱られちゃうんですよ」


小さく舌を出し、やんちゃっ子みたいに言う姿が、また可愛らしかった。


さっきの言葉は、気にされてない事にホッとする。


何か…調子狂うな…。


「仕事中に足取めしてごめんね。じゃあ、また…」


『また…』か。


滝島家の見舞いだって、何回も来れる訳じゃないのにな…。


「はい!また!次はいつ、来られますか?」


え…
あぁ…彼女は単純に素直なんだな…。


「次…滝島の予定次第だけど…水越さん、いつ休み?」


また、変な質問をしてしまう。


でも彼女は、期待通りだった。


「えっとですね…月曜日が早番で水曜日と土曜日は1日休みです!」


屈託なく笑いながら、そう答える。


ちょっと嬉しくなり口元が緩むが、誰にでもこうなら、ちょっと心配だな…。 

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