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理想と偽装の向こう側
第16章 懐古
「えっとね~ランチは、あっさり系にしようかなって思ってるんだよね」


次の予定を伝えつつ、マッサージ店を出る。


華奢な彼女の体型から、重たいものをガツガツ食べる様には、思えなかったけど…
食べるかな?


「因みに、ビッフェみたいなところもあるけど…」


「あの…小田切さん…」


水越さんが、モジモジしながら何か聞きたそうだ。


「ん?何食べたい?」


「あっ…いえ…さっきのお店のお金はと思って…」


そこか!
そりゃ普通、気にするよね…
でも、勝手に連れ込んだの俺なんだけど。


「気にしないで、今日付き合ってくれたお礼だから」


本気で、そう思ってるし。


「いえ!本当に、気持ち良かったし!悪いです!払わせて下さい!」


真面目だな…
でも、払わせないよ~。


「頑張ってる水越さんへの、プレゼントだから!」


「そんな!払います!」


そう言うと、思った…。


「水越さん…気持ちだけで十分だから、ここは俺にカッコ付けさせてよ」


彼女の目線に合わせて、微笑みながら、

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