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理想と偽装の向こう側
第17章 希望と絶望
「すみません…ありがとうございます」


「光花も…小田切さんに会えて幸せだったわね。」


過去形…。


「光花さん、迎えに行って来ます」


まだ、分からない…

奇跡が起きるかもしれないだろ!


そう言い聞かせ、気持ちを落ち着かせドアの前に立つ。


「光花…お待たせ。気分はどう?」


「志信さん…大分落ち着いたよ…ごめんね…迷惑かけちゃって」


何でこんな時まで、気を使って…

胸が痛む。


ベッドに腰掛けている彼女の頭を抱き込み、頭上で囁く。


「気にしなくていいよ…胃炎の状況を詳しくは調べるから、明日の夕方から検査入院だって。必要な物を用意しないと…お義母さんと一緒に送るから」


「えっ…お母さん来てるの?」


「あぁ…救急車まで呼んだから…慌てちゃってさ。でも、お母さんが居てくれたら何かと安心だろ?」


光花は、小さな声で呟いた。


「お母さん…心配させちゃったんだ…」


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