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理想と偽装の向こう側
第17章 希望と絶望
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そして…数日後、俺と光花の母親は動かなかった現実を突き付けられた。


結局、医師の初見は覆る事はなく、転移は無けれど末期に近いスキルス硬癌、余命も半年から伸びる事は無かった…。


「病名だけでも…伝えとかないとね…」


「はい…」


俺は、重い足取りで病室に向かった。


「コンコン…」


扉を叩く。


今まで生きてきて、こんなに辛いノックは初めてだ。


「は~い!」 


扉の向こう側からは、愛しい君の声…。


「光花…気分はどう?」


笑いながら


「ふふっ…志信さん、ドアを開けるといつもその台詞だね!悪くないよ~」


「そっか…」


ベッドサイドに折り畳み式の椅子を開き腰掛ける。


「光花…病名なんだけどね…」


その瞬間、光花の顔つきは真剣になる。


「うん…」


嘘を付いてしまいたかった…。


でも、光花はきっとそんな嘘を望まないだろう。


「胃癌…だって…」


「…うん…」


少しもたじろかず、聞いている。


「治療は…抗がん剤を使うって。」


「うん…お父さんと…一緒だな…」


光花は、遠い目をした。 

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