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理想と偽装の向こう側
第19章 罪悪感?
会社命令なら、逆らえないと踏んだんだ。


ここまでして、連れてく気なの…。


私は、怒りと吐き気で身体が震えてきた。 


「でも…例え社長が承認しても、私が行くとは限らないですよね?」


「いや!それが取引先が、立案者に是非会いたがってまして!凄い事なんですよ!ねっ須永くん!」


辻さんは、一人暴走してしまってる。


嘉之の自信は、ここから来てるのか…。


井関さんは、冷静な対応に戻り


「分かりました!前向きにこの企画、上に通してみます。また、ご連絡致しますね。」


本気ですか!


私が眼を見開いて見詰めと


「渡辺さん…面接の時にイタリア行きたいって言ったんでしょ。もしかしたら夢が叶うかもしれないわね!良かったわね~!須永さんに感謝しないとね!」


優しく微笑みながら、喜んでいる。 


「えっ…それは…」


口がパクパクしてしまう。


「じゃぁ、乾杯しましょうか!」


辻さんが音頭を取り始めた。


その向こうには、不敵に笑う嘉之…。


ウソ…
私は一体ナンな訳…?


目眩がする…。


「えっ!渡辺さん!」


「わぁ~!!渡辺さん、大丈夫ですか!」


遠退く意識の中で、みんなの声が聞こえる…。


最後に小さく


「香織…」


嘉之に名前を呼ばれた気がした…。


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