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理想と偽装の向こう側
第20章 さよなら
なっ!
また、こないだみたいに力尽くで、押さえ込む気なの!


「た、体調悪い…生理中だし…」


小声で言うと


「だから~?香織、選択権有ると思ってんの!」


「くっ…」


「『小田切さん』助けたいんだろ?」


何でここまで、歪んだんだろう…。


イタリアは、私じゃなくたっていい筈だ…。


でも、嘉之には『自分の描いた夢』を上から泥でも被せられた気分になってるんだろう。


ここまで、順調だったのに…
最後に必要な画材を持ってイカれた。


そんな感覚…。


「香織ぃ~どうすんの~?」


「脱ぐわよ…」


私はカーディガンを脱ぎ、ブラウスのボタン指を掛ける。


「ふっ…」


恐怖心で手が震えてボタンは外せないし、涙が溢れ出る。
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