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理想と偽装の向こう側
第20章 さよなら
金曜日

お鍋の様子を見ていると。


「香織ん!吹き零れそうだよ!」


「あっ!わっ!熱っ!」


うっかり熱い部分に触れてしまい、耳たぶを触ろうとしたら


「香織ん!水で冷やさないと!」


コンロを停めて、私の腕を掴んで蛇口から勢い良く水を出して指に注ぐ。


一瞬だった。


腕を掴んだままの小田切さんに


「ごめんね…うっかりしてた。もう自分でやるよ」


「そう?後は俺が作るから、香織んは冷やして手当てしてな」


「はい…」


様子がおかしい私に


「香織ん…何かあったの?」


心配そうに聞いてきた。


「あ…うぅん。今週色々あっから、ちょっと疲れたみたい。はは…」


流れ出る水を眺めてると、小田切さんが


「こうゆう時はね~あれが良いんだよ!」


「へ?」


ベランダに出て、少し経ってから何かむしって戻ってきた。

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