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理想と偽装の向こう側
第21章 逆転
身体の上に乗られたまま、手首、足首と縛られてしまった。


「ん~!ん~!」


「喋れないのに、足掻くだけ疲れるぜ」


そう言い捨て、部屋の中を漁り出す。


いったい何を見つけようとしてるの?


机は勿論クローゼットの引き出しの中テレビ台の下等、水回り以外を徹底して探している。


「はぁ…ないな…やっぱり小田切のところか?なぁ…何処にしまってんの?」


何の話よ!


口の布を抜かれて、ようやく話せる様になった。


「ゲホッ!何を探してるのよ!」


「取り引きだよ、香織…」


嘉之は目の前に、こないだの興信所の写真を突き付けた。


「今から俺の言うこと訊ければ、この写真とメールは小田切の会社に送られない様にしてやる」


え…何ですって。

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