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理想と偽装の向こう側
第21章 逆転
眼を細め見下すように、嘉之は睨み


「じゃあ…せいぜい頑張れよ。気絶させてでも連れてくよ」


「し、しなわよ!」


「まだ時間は、あるからな…」


不敵な笑みを浮かべ私の顎を掴み無理矢理、口付ける。


くっ…。


「クチュ…」


「やっ…」


態とらしく、音を立ててる…。


嘉之が、しつこくキスしてる間に考えなきゃ。


あっ…あれを何とか!


足をもぞもぞさせると、嘉之の足が引っ掛かり、足首の布が取れた。


やった!


「んっ…はぁ…」


敢えて声を出しておく。 


舌が絡み付いてて、息がしにくいけど辛抱しながら足を上手くずらしていく。


あと…少し…。


「んっ!んん~!」


「香織…」


届いた!


「嘉之…」


ごめんね!


「ガッシャンッ!!」


「なっ…つっ…」


ベッドサイドにあったアンティークのスタンドランプを倒し、ガラスの笠が嘉之の頭上に、上手くぶつかった。


「痛っ!」


嘉之が頭を押さえて、身体を浮かした隙に急いで、抜け出す。


「て…おい!」


かなり打ち所が悪かったのか、思いの外動かない。


必死に縛られた手で、何とかパスポートとバッグを掴み、急いで外に飛び出した。

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