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理想と偽装の向こう側
第22章 約束
「香織…」


「小田切さん…」


広い胸の中は、優しくて温かい。


「ふふ…気持ちいい…」


「好きだよ…」


え…『好きだよ』って。


驚いて小田切さんの顔を見上げると、優しくて見詰められ


「香織、好きだよ…愛してる…」


あっ…
昨日、聞いてなかった言葉。


瞬間、弾けたように嬉し涙が溢れだす。


「うん…わたし…私も!ひっく…小田切さん大好き…愛してる!」


微笑み合って、お互い抱き締める腕に力を込める…。


唇が、自然と重なる。


私たちは、人の目なんて気にもせず身体を寄せ合う。



月明かりに照らされて、伸びる影が一つになっていた。

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