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そのキスは許されていない……
第4章 現の後(うつつののち)(お嬢Side)
「あら、まあ」
私は偶然出会ったような素振りをして、あの人に声をかけた。
あの人は立ち止まり、こっちを凝視して目を見開く。
そんなに驚くことなのだろうか?
それにしても後ろにいる女は?
確かあの人の部下だったはずだが、
どうしてドレスなんて身に着けているのだろう…
その不釣り合いな姿に胸が悪くなる。
「ふふふっ。どうしたの?口すらきけなくなった?」
私はその気持ちを押し隠して微笑んだ。
「へぇ~」
それからその女の頭から足の先まで見定めてから、
あの人の顔に視線を戻した。女は俯く…
「そういえば、研修なんですってね。まあ、会社のお金で…
相変わらずお気楽なご身分だこと」
あの人は女に向かって手を伸ばしながら
「そんなことない。ここは自腹で、今は仕事の後のプライベートだ。
失礼だぞ」
あの人が女をかばうように背に隠し怒っている。
あまり感情を露わにしない人が、なんで…
私は嫌な予感がした。
「まぁ~、コワイコワイ。
仕事熱心なあなただから、もちろん研修には
きちんと来ているんでしょうけどねえ~」
「こんなところで立ち話もなんだから、お茶はいかが?」
私は予定通りカフェに向かって歩き始めた。
「佐伯」
「はい」
「あなたもいらっしゃい」
「…はい。かしこまりました」
私は偶然出会ったような素振りをして、あの人に声をかけた。
あの人は立ち止まり、こっちを凝視して目を見開く。
そんなに驚くことなのだろうか?
それにしても後ろにいる女は?
確かあの人の部下だったはずだが、
どうしてドレスなんて身に着けているのだろう…
その不釣り合いな姿に胸が悪くなる。
「ふふふっ。どうしたの?口すらきけなくなった?」
私はその気持ちを押し隠して微笑んだ。
「へぇ~」
それからその女の頭から足の先まで見定めてから、
あの人の顔に視線を戻した。女は俯く…
「そういえば、研修なんですってね。まあ、会社のお金で…
相変わらずお気楽なご身分だこと」
あの人は女に向かって手を伸ばしながら
「そんなことない。ここは自腹で、今は仕事の後のプライベートだ。
失礼だぞ」
あの人が女をかばうように背に隠し怒っている。
あまり感情を露わにしない人が、なんで…
私は嫌な予感がした。
「まぁ~、コワイコワイ。
仕事熱心なあなただから、もちろん研修には
きちんと来ているんでしょうけどねえ~」
「こんなところで立ち話もなんだから、お茶はいかが?」
私は予定通りカフェに向かって歩き始めた。
「佐伯」
「はい」
「あなたもいらっしゃい」
「…はい。かしこまりました」