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女子大生 成宮恵理
第5章 切ない慰め
濡れてる。
グッショリと、自分でも驚くくらいに。
「ん……」
自分の愛液で指を濡らし、敏感な部分を刺激する。
自慰行為、マスタターベーション、オナニー。
恵理は元々それを滅多にしないタイプだった。
したとしても数ヶ月に一度するかしないか程度。
だから自分ではそれ程性欲が強いとは思っていなかった。
でもこうして奈々の喘ぎ声の隙間から聞こえてくる悠一郎の息遣いと、恐らく悠一郎が腰を動かしている事で揺れているであろうこの震動を感じると、どうにも我慢できなくなってしまう程の性的欲求が湧いてきてしまう。
『あっあっあっ……ハァアア……イク……アアッ!』
奈々が果てる。
その後にベッドが軋む音も止まって、悠一郎も果てた事が分かる。
そしてそれと同時に恵理の手の動きも止まる。
恵理だけがイけない。絶頂無き自慰行為。
自分1人ではなかなか達する事ができないから、もどかしい。
行為が終わって、隣からはまた2人の話し声が聞こえてくる。
いつも終わった後の奈々は、甘えん坊さんのような声で悠一郎と話してる。
それを聞いて、恵理は途轍もない虚しさを感じ、憂鬱になった。
あぁ、病んでしまいそう。
でもオナニーは止められなかった。
悠一郎は週に何回かは必ず奈々の部屋に泊まりに来る。
その度に2人は身体を重ね、そのすぐ隣、壁一枚を挟んだだけの空間で、恵理も同時にオナニーを繰り返していた。
切ないし、悲しいけど止められないという、なんだかある種の依存症のようになってしまっていた。
性的快感の気持ち良さをこのオナニーで生まれて初めて知ったから、というのもあるかもしれない。
悠一郎の事を想いながらの1人エッチは気持ち良い。
しかし身体を自分で慰めていても、心だけは消費されるように日々痛々しく削られていくのを感じていた。
だから心はボロボロ。
もう限界かもしれない。
でもどうしたらいいの?
なんだか全てが嫌になって、逃げ出したくなる。
親が許してくれる訳がないけれど、大学さえ辞めたいと本気で思い始めていた。
恵理の心はそこまで追い詰められていたのだ。
しかし丁度その頃だった、あの台風が来たのは。
そしてあの夜を迎えたのだ。