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あなたとふたり
第18章 あの日の出来事
『言っただろ。

大切なもの一つ、
そばに置いておけないなら
俺がもらってやるって。

それが今なんじゃないの?』




「はぁ!?お前、ふざけんなよっ!」



『…で、お前いまどこにいんの?』


「・・・・」




そうだった…俺に怒る資格なかった…






電話の声の主が変わり
今、会いたくて…
声が聞きたかった…

その主の声は震えていた。


「優ちゃん、信じてるから…」



何ヶ月も会っていないような
錯覚を覚えた瞬間だった。




遥香が康太のものになってしまったような
錯覚にも襲われた…。




話したいことも言えず

謝ることも出来ず…



電話は向こうから切られた。




『遥香…』


俺は空を見上げ
雲で覆われたこの薄暗い世界を恨んだ…。



大切なもの一つ…

守れず…


またひとつ、



失おうとしているというのに。
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