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あなたとふたり
第3章 優ちゃんの『優』
しばらく2人だけで
話し込んでしまった。

すると、教室の向かいの廊下が騒がしい。


バタバタバタっと足音がこちらに近付く。




バタンっっー!!


勢い良く教室の扉が開かれる。




「っっ。やっっっと見つけた。」




そこには
何故かハァハァと息を切らし

いやらしささえ感じさせる程
額から汗を流している優ちゃんだった。



「優。」
「優ちゃん。」


2人は同時に声を出した。



優ちゃんは、康太を見て
その後に私の方を向いた。

そして、その場に力なくしゃがみ込んだ。



驚いた私は急いで優ちゃんの元へ駆け寄った。

「優ちゃんっ!どうしたの?大丈夫??」



項垂れてた優ちゃんの頭が上がり
私をギロッも睨んだ。


そしてーーー




「あっっちぃーーー!」



そう叫んだ。




空いた口が塞がらない私と
その後ろで大爆笑してる康太。



「お前らなっー。もうとっくに授業始まってんぞ!」


えっ!?嘘!?


バッっと、康太の方を見ると
康太はまだケラケラと笑っている。



チャイムさえ聞こえてなかった…。

優ちゃんのように私も項垂れると

優ちゃんが私にデコピンをしてきた。


「あっいたっ!」


「見つかったからいい。行くぞ。」


そう立ち上がった優ちゃん。



きっとこの校舎中、探し回ったんだろう。
汗は止まることを知らない。


「優ちゃんも馬鹿だね。歩いて探せば良かったのに…」


そう言ったけど、優ちゃんは何も言わなかった。


優ちゃんが走った理由なんて
私は全然考えたこともなかった…。
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