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あなたとふたり
第24章 内緒の予約
いつの間にかすっかり朝が来ていた。
「遥香、今日は何時に帰る?」
私は携帯電話を手にし
ディスプレイに残る不在着信を見ていた。
「…もうすぐ帰る」
タイムリミットなんだろう。
康太からの着信がずらっと並んでいた。
私は左手の薬指に光る指輪を外し
大切に黒い箱へとしまった。
残った右手の小指のピンキーリングを
優ちゃんが触ってきた。
「これ、康太からだろ?」
「うん。」
「学生でこれか…
頑張ったんだろうな…」
「優ちゃん、また会えるよね?」
昨日までは優ちゃんもその言葉を
私に聞いてくれた…
けれど
指輪をもらってからの優ちゃんは…
またいつか会えるという言葉しか言わない。
私の心の不安は大きくなるばかりだった。