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あなたとふたり
第29章 あの時のペアリング
私は動くことが出来ず
その場で立ち尽くしていた。
「やっぱイケメンを放っておく人なんていないわよね」
香織はそう言うと足を進ませた。
笑う彼女は
少し年上の美人だった。
赤いカーディガンを肩からかけ
毛先がクルッと内側で巻いてある。
赤い口紅が印象的だった。
「…遥香?どうしたの?」
香織に声をかけられ
我に返り動揺を隠しながら駅へと向かう。
駅で香織と別れ
私は自宅へと戻った。
玄関の鍵を開け
暗い部屋に電気をつけた時
初めて…紙袋の存在を思い出した。
「何よ…来いっていうことじゃないの?」
「先約あるなら…そう言ってよ…」
「…彼女は…私じゃないの?」
たった3日の再会で…
こんなに心をかき乱されなきゃいけないのか…
ふと…
テレビの横のアクセサリーなど
置いてあるボックスに目がいった。
あの黒い箱が目に入った。