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あなたとふたり
第30章 アカリ

何度かコールをすると…
ソファーの隅からベル音が聞こえた。
「あ。アホ…」
そこには遥香のカバンが置いてあった。
俺はすぐにカバンを手に取ると
外へと出た。
外に出たものの…
「俺、遥香んち知らねぇし…」
俺は迷わず
康太へと電話をかける。
しばらくのコールのうち
「…なんだよ。」
と気怠そうな声が聞こえた。
「…遥香の家、どこだよ」
そう聞くと電話の向こうの声は
小さく笑いだした。
「…遥香だろ?
ここにいるよ。」
「はっ?」
「お前もつくづく可哀想な奴だな。
…本当に遥香を誰かに取られるぞ。
しっかり捕まえとけよ。
何、容易く手を離してんだよ。」
「…わかってるよ…
遥香に変わって欲しい」
電話の声が女へと変わった。
「…優ちゃん。ごめんね」
「遥香…迎えに行く。
どこ?」
「今日は…
会いたくない」
それは紛れもなく拒否の言葉だった。

