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第31章 心が綺麗な人

今日は金曜日。


康太の家から会社へと出る。





この前と同じ…昨日と同じ格好。

デスクに着くやいなや…香織はニヤけている。


「お盛んですね。おねぇさん。」



「…そんなんじゃないわよ。」




そう。確かにそんなんじゃない。



椅子を引き座りデスクの中へ
入り込むと、足に何か当たった。



あっ、カバン…。




隣の部所へ目をやると
優ちゃんと目があった。


携帯を肩と耳の間に挟み
タブレットを操作して忙しそうだ…



けれど私を見つけた優ちゃんは
一瞬にして笑顔になった。





…ちゃんと話そう。

不安なことも…

大好きなことも…






「遥香。あんた何ニヤついてんの？」



「はっ？嘘！？ニヤついてた？！」



「はい。向こうのイケメンを見つめて…



ははーん。そういう事ね。」




「えっ…何？」



香織が私へと近付き
そっと耳打ちした。





「あんた、イケメンに遊ばれてるわけ？


だめよ。あのイケメンは…

村崎さんの婚約者なんだから。」






「えっ？」






遊ばれてる…それは…
そう見えても仕方ない…かもしれない。



でも…何？


婚約者！？