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第5章 あなたの隣

「遥香…。」


「ここにずっといたの？」


「ん。」


優ちゃんは、私の方は見ようとせず
真っ直ぐ見つめていた。


「あのね。私…

そう言いながら優ちゃんの隣に腰をおろす。


優梨ちゃんに怒られた」



そう言ってもまだ、優ちゃんはこちらを見ない。


「幼馴染みを利用して
いつまでも引っ付かないでって…。


そんなにダメなことかな…。」


「……………………」


「私…た、ただ…

側に…っく。いたい…っ。

だけなの…っう。っく。」


溢れる涙は止まらなかった。


私はただ、ただ
あなたのとなりにいたいだけなの…。



「…っく。……っ。…う。」

「………………………」


泣き続ける私の横で
優ちゃんは、何も言わなかった。



しばらくして、少し落ち着いた私をみて
優ちゃんがやっと口を開いた。

「お前たちは、幼馴染みというものに
縛られすぎて…壊すことが出来なくなってる。


お互いに。 」


「そんなに…康太じゃないと


ダメなのか？」


やっと優ちゃんは私の顔を見た。

あの目で…。

私の涙はサーっと恐ろしいほどに引いた。


「遥香。



俺のとなりは


お前のものだよ。」


その言葉の意味は

次に優ちゃんがくれたキスで

痛い程伝わった。


涙でしょっぱかったけど……


優ちゃんの優しさが沢山

込められたキスだった。