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金の月銀の月
第5章 One and Only
恋しい人に会いたいに決まっている。

でも恋しい人を諦めないと、自分が傷つく……

美枝子は一真が恋しいまま、素敵な思い出に変わってくれたらいいと思っていた。

一真から傷付けられるのは
夫から傷付けられるのより辛い。

一真から離れる痛みを
夫から受ける痛みで忘れようと思った。

そして美枝子は寝室に行きベッドの上で
嗚咽していた。


「美枝子?美枝子、大丈夫?」
階下で声がした。

一真?

「ごめん、上がらせて貰った。美枝子どこ?」

リビングから階段を上がる足音がした。

美枝子は寝室のドアを凝視した。


寝室のドアをノックする音がしドアが開いた。

一真は美枝子の姿を確認すると
ホッとした表情に一瞬なった。

が……

美枝子のベッド周辺に縄が落ちていて
美枝子の疲れ切った腫れた顔に言葉を失っていた。

「美枝子さん?どうしたの?」

一真は美枝子に近付いた。
美枝子の縛られた後の手首の傷を見ると

「どうした?美枝子さん?」
美枝子は布団を掴み身体を隠した。

一真は無理矢理布団を剥ぎ取ると
巻かれていたタオルも一緒に外れ
美枝子の身体の傷に気がついた。

「旦那にされたの?」

一真は美枝子の傷を見ながら尋ねた。

「同意でしたの。」

美枝子は俯きながら言った。

「美枝子さんは、そういうの好きなの?」

美枝子は頷いた。

「じぁ、何故悲しそうなの?」

美枝子は俯きながら首を横に振った。

「美枝子、俺を見て!」

美枝子はゆっくり顔を上げると
一真を見つめた。

堪えているのに
涙が溢れ出してくる。

何故こんなに一真を恋しく思うのだろう……

美枝子は子供のようにしゃくりあげながら泣き出した。



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