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第1章 濃紺を形成するもの

夏真っ最中の熱風が
もわっと世の中を蒸す7月
焼けたアスファルトから
揺らめく熱に半分干からびながら

家に向かい歩く俺
椎名偉月（しいないつき）の
熱せられた携帯が鳴る

「んー？」

暑さのせいで
必要最低限のエネルギーしか使えない

『イッキくーん？バイト…せーへん？』

弟の猫なで声
全くもって不吉な予感しかしない

が、しかし
今月かなりヤバイ…

「…なんぼ？」