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隠匿シリーズ☆番外編
第2章 王子様の憂鬱
一刻ほど祖父と酒を酌み交わした頃。廊下の向こうから騒がしい声が聴こえてきた。
「たくさん摘んできたのね」
「はい! 早速調理したいのですが、キッチンお借りしてもいいですか?」
「もちろんいいわよ。でも……」
「お母さま、話はあとあと! 私はアリエッタとジャム作ってくるわね」
弾むようなアリエッタの声に居ても立ってもいられず、レオは席を立つ。
廊下の角に消えようとしていたアリエッタの姿を見付け、大きく呼んだ。
「アリエッタ!」
彼女は立ち止まり、振り返る。
「レオ!?」
驚いた様子のアリエッタはカゴを腕にぶら下げてレオの元へと駆け寄る。
腕を伸ばせば触れられる距離に来た彼女を引き寄せ、すっぽりと腕に埋まるほど細い身体を抱き締める。
「レオ? あの、どうしてここに……?」
「迎えに来たに決まってるだろ」
腕の中で身動ぎする彼女の額に自分のそれを重ねてレオは言った。
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