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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔

「けどな、キッシュ。この先の人生を恨みだけ抱いて、諦めるのは早すぎるんじゃないか? お前たちは生きてる。この土地もだ。それを放棄するなんて、それこそ馬鹿げてる」
レオは小刻みに震えるキッシュの頭を撫でる。
「お前たちは充分足掻いて頑張った。それだけは俺にも解る。だから、ここからは俺の仕事だ」
「だからあんたになにが……」
出来るんだ、とは続けられなかった。嗚咽に消えてしまって、紡げなかった。
レオはキッシュを家まで送り届けると、やることがあると言い、また戻ってくるからと約束し、出ていった。
現れたときと同様、突然に。
彼は次の日も、その次の日も姿を見せない。
一週間も経つとレオという人と逢ったのが夢だったのかと思えてもくるし、待っている自分がひどく虚しくもなり。
あんな男に期待してる自分が馬鹿らしく思えてもくる。
結局はなにも変わらない。あのとき助けられても、何日か死ぬのが延びただけだった──。
キッシュが己の馬鹿さ加減に笑いを漏らした八日目の朝。
久しく鳴っていない村の広場にある召集を告げる鐘が鳴った。
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