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秘密の香り
第12章 秘密の痛み
「ちょっと遠いけど、診てくれるとこあったよ」

「すみません…」

「ティラミスはまた今度だね」

紅茶は冷めてしまい
圭吾さんは紅茶とティラミスをキッチンに下げた

「せっかく淹れてくださったのに…ごめんなさい…」

「桃香ちゃん…謝ってばかりだね…」
笑いながら抱きしめられた

「行こうか…」

「はい…」




病院に着くまで
圭吾さんは心配そうに
体調を気遣ってくれた

膝掛けでは寒いからと
わざわざ家から薄手の毛布を持ってきてくれて

マンション近くのコンビニで
栄養ドリンクと飲料水を買ってきてくれた

「歯だったら診てあげれたんだけどね…」
冗談混じりに言われて私はクスッと笑い
場の空気が和やかになる…


その時、携帯がバックの中で震えているのに気付いた


「いいよ…電話でて…」

「すみません…」

私は慌てて携帯を手にする
着信は敦からだった

「もしもし…」

無事に着いて
今夜は温泉に行くという

『ごめんな…年末年始に留守にして…体調は…?』

「ううん…大丈夫だよ…」

『ゆっくり休めよ、沙穂ちゃんとは会うの?』

「うん…」

『良かった…お正月ひとりはちょっとな…』

「そうだね…」

『本当、ごめん…ゆっくり休んでね』

「うん…ありがとう…」

『寝るときメールするよ…じゃあ、またね』

「うん…分かった…またね」


電話を切り携帯をバックにしまうと
手を握られた

手の甲を優しく撫でられ
私は圭吾さんの手に指を絡めた



病院へ着き
少し待って診察を受けた

インフルエンザの結果は陰性

喉の炎症が酷く
扁桃炎と診断された…。






























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