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秘密の香り
第4章 秘密の時間

夢…?

そうだ
夢だよね


まさか
こんなところで…

ハワイでなんて


「こんにちは…」
力のない声で
何とか返事をして
お辞儀をする


圭吾さんは
私が飲んだ甘めのドリンクと同じものと
シナモンロールの乗ったお皿を持ち

椅子に腰かけた


私は圭吾さんに
ごちそうしてもらって

もう一杯
ドリンクを飲むことにした

さっきよりは
甘さ控えめ…


圭吾さんは
時間があるか気にしつつ
お茶に誘ってくれた


ハワイには
従兄弟の結婚式で訪れて
明日が式で
今日はのんびりしていた…など
話してくれた

「桃香ちゃんは、ひとり旅?」

真顔で聞かれて

テーブルの下の
膝の上の左手から

そっと指輪を外した…


なんとなく…




ひとり旅、なんて聞かれて

スペインバルで会ったとき
指輪に気付いてなかったのかな…

って…思ったら


新婚旅行で…なんて
言えなかった


そして

「いや…友達と…」

嘘を
ついてしまった…


「観光は?もうどこか行った?」

「いえ、まだ…今日ついたばかりで」

圭吾さんの携帯が鳴った

「ちょっと、ごめんね」
私に断ってから電話をとる

流暢な英語で話している


電話が終わり
圭吾さんが言った

「オアフに住む友人から…今夜バーベキューするみたいで、良かったら桃香ちゃんとお友達もどうかな?もし…予定なければ」

誘ってくれてる…



急な展開に
ついていけない


「あ、いや予定なくて嫌じゃなければ…無理しなくていいから、ね」

「ごめんなさい…夜は予定あるんです…」


本当はすごく行きたい…


「せっかく誘ってくださったのに、本当すみません…」

「気にしないで…?こっちこそ、突然ごめんね」

少し沈黙が続いた…


「桃香ちゃん、甘い物好きだよね?これ、半分どーぞ」

シナモンロールを半分くれた


「あー、そういえば前に聞きそびれちゃったな」



「いちばん好きな甘い物?」

あ…
あのときの

「いちばん好きなのはティラミスです…」

「ほんと?同じだ、ティラミスいちばん美味しいよね」

ニコッと笑顔で
シナモンロールを頬張る圭吾さん



その笑顔に

ドキンッ…


胸が高鳴った。



























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