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秘密の香り
第1章 出会い…
「もー!隣なんて嫌なんだけど!」

不機嫌な沙穂を無視して
「智也さん、今日はお休みなんですか?」

「今日は後輩の結婚式があって、特別にお休みしたんだ」

確か木・日がクリニックの定休日…
今日は土曜日だから
聞いてみた。

どうりで
お洒落にスーツを着ているわけだ。

「友人と待ち合わせしていてさ、店内見渡したら二人がいたから、びっくりしたよ」


「元カノの隣に座るって、ほんと無神経だよね」
沙穂は相変わらず、不機嫌で嫌味ばかり。

でも内心は、嬉しいんじゃないかなーなんて
私はついニヤニヤしてしまう。

「あ、こっち!」

お店の入り口に向かって
大きく手を振る智也さん。

「沙穂にバッタリ会っちゃって!この席でいいよな?桃香ちゃん、隣いいかな?」

「はい、どうぞ!」
私は右側に置いていたバッグを自分の左側へ移す

「すみません、失礼します」
そう言って座った智也さんの友人。

「沙穂ちゃん、久しぶりだね。 」

そして
「あ、えっと初めまして、久下の友人の村田です」

「初めまして、沙穂の友人の桜乃です」

そんなやりとりをしていると
店員さんがオーダーをとりにきた。

智也さんはコーヒー
友人の村田さんは
「ロイヤルミルクティーを」

あ、おんなじ。
男性でロイヤルミルクティーだなんて
可愛い…なんて
ぼんやりと思った。

「相変わらず、好きだね!ミルクティー頼む男、他に知らないわ」
智也さんがふざけて言うと
やっと沙穂が笑った。
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