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あなたの面影
第9章 危険な罠
「あのさ、ちょっと来てくれない?」

やけにうるさい場所から電話をかけてきているらしく、声が聞き取りづらい。

「今から?」

時計を見ると九時を回っていた。
夜更けというわけではないが、帰宅して部屋で一息ついたところで外出するのは少し面倒な時間だった。

「そう。いまから。場所言うね」
「ちょっとっ」

私の可否など関係ないように彼女は場所を伝えてくる。
私は行ったことがないが有名なクラブだった。
今からだと着替えも含めて一時間はかかると告げると、笑いながら「なるはやで!!」と言って電話を切られてしまった。

自分の言うことは何でも通ると思っているような態度は甘やかされて育ったことを物語っていた。
仕方なく私は簡単に着替え、化粧を整えて部屋を出た。

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