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あなたの面影
第9章 危険な罠
彼女は少しだけ顔をあげて私の顔を見る。
その瞳には涙が溜まっており、眉は苦しげに歪んでいた。

「ごめんなさい……瑞波さん」

目を見て、はっきりと謝った。

「ううん……私のこと助けてくれようと頑張ってくれたの、嬉しかったよ……」

偽りでなく本心でそう思っていた。
少し脅かしてやるだけのつもりが大事になってしまったことを悔やんでいる彼女の気持ちも分かっている。

「あなたって……本当に馬鹿……」
「玲香っ!!」

次の瞬間、溜めていた涙は次から次と落ちていった。

「なんでこんな目に会わされて嬉しかったなんて言えるのッ!! もう少しで……あなたはっ!!」
「大丈夫だったでしょ……だからもういいの」

取り乱す玲香ちゃんを抱き締める。

「もう心配ないから……大丈夫だから……ね?」

私の胸の中で泣く彼女は普通の高校生の女の子だった。
生意気で、背伸びしてるけど、本当は優しくて可愛い女の子なんだって実感できた。

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