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あなたの面影
第11章 『あなた』
「…………そうだね」
聡志は缶コーヒーの原料表記あたりから視線を動かさずに答えた。
「今聡志が住んでるところ、見てみたい」
「えっ?」
「お願い……連れていって……」
また聡志がどこかへ行ってしまう。
そんな不安がどうしても消えない私は彼の住み処を知っておきたかった。
躊躇する聡志を押し切り、何とか案内してもらえることになった。
そこは私の住むところから二回電車を乗り継いだところにある。
治安が悪いことで有名なその街の駅を私は人生ではじめて降りた。
闇売春やドラッグが横行し、行き場をなくした犯罪者が集まる街と噂され、日本でも有数の危険地帯と言われていたが、実際に行ってみるとそんな恐ろしさは感じなかった。
日雇い労働者が集まっており、何をして暮らしているのか分からないような人は確かにたくさんすれ違ったが、その多くは年寄りであって犯罪者という雰囲気は感じられない。
そして驚くほど外国人の姿が目についた。
「驚いた?」
聡志は笑いながら私を見た。
聡志は缶コーヒーの原料表記あたりから視線を動かさずに答えた。
「今聡志が住んでるところ、見てみたい」
「えっ?」
「お願い……連れていって……」
また聡志がどこかへ行ってしまう。
そんな不安がどうしても消えない私は彼の住み処を知っておきたかった。
躊躇する聡志を押し切り、何とか案内してもらえることになった。
そこは私の住むところから二回電車を乗り継いだところにある。
治安が悪いことで有名なその街の駅を私は人生ではじめて降りた。
闇売春やドラッグが横行し、行き場をなくした犯罪者が集まる街と噂され、日本でも有数の危険地帯と言われていたが、実際に行ってみるとそんな恐ろしさは感じなかった。
日雇い労働者が集まっており、何をして暮らしているのか分からないような人は確かにたくさんすれ違ったが、その多くは年寄りであって犯罪者という雰囲気は感じられない。
そして驚くほど外国人の姿が目についた。
「驚いた?」
聡志は笑いながら私を見た。