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あなたの面影
第12章 傷の深さ
部屋にやって来た一仁さんと聡志が顔を見合わせる。

「あっ……」
「えっ……?」

そう。
聡志がどんなにいとこの演技をしても意味がない。

だって一目見れば二人が似てることは分かってしまうのだから……
そしてそれが何を意味するのか、一仁さんは知っている。

二人は見詰めあって一瞬だけ時が止まったように固まる。

「へぇ……確かに結構似てるな……」

一仁さんは小さく笑って私を見た。

「違うのっ……違うの一仁さんっ……」

聡志はいとこの演技を忘れ、私を振り返った。

「よかったな、瑞波……」

そう言い残して一仁さんはそのまま部屋を出た。

「一仁さんっ!!」
「追いかけろよ、瑞波っ!!」

聡志の喝を入れるような声を聞き、私は裸足で部屋を飛び出した。
部屋から出た私を見た一仁さんは走って逃げ出す。

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