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あなたの面影
第12章 傷の深さ
「待ってっ!!」

一仁さんはエレベーターではなく外階段で降りていく。
雨に濡れたストッキングは滑るが必死に追いかけた。
ここで見失ったら一生会えない気がしていた。
一階に降りた彼は振り返らずに雨の中を駆けていく。

「待ってっ!! お願いっ!!」

私も躊躇いなく雨の中へと飛び出していた。

「きゃあっ!?」

しかしそれは自殺行為だった。
盛大に滑った私は水溜まりで尻餅をついてしまう。

「瑞波っ!!」

逃げてたはずの一仁さんが慌てて駆け寄ってくれた。
こんなときでさえ駄目な自分が恥ずかしい。
でも一仁さんの優しさは素直に嬉しかった。

「何やってんだよ……ったく」
「だってっ……一仁さんが行っちゃうからッ……」
「馬鹿だな……瑞波は……」
「馬鹿だよっ!! 悪いッ!!」

泣いて一仁さんの首に腕を回して抱きつく。

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