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あなたの面影
第12章 傷の深さ
一仁さんのアドレスはすぐに変えられており、電話番号もしばらくしたら変わっていた。

謝りたくてかけた聡志の方は何度電話しても出てくれない。

可笑しいほど独りぼっちだ。

気が付けば雨に濡れた体は凍えていた。

濡れた服は張り付いて脱ぎづらい。
無理矢理に脱いでシャワーを浴びる。
少し熱めのお湯が体をほぐしていく。
顔にも勢いよくかけると少しだけスッとした。

これでよかったのかもしれない。

突然そう思った。
聡志も一仁さんも選ばず、一人きりに戻る。

それが案外一番正しい選択だったような気がする。
どちらを選んでも、心にはしこりが残る。

ずっと一人でやって来たんだ。
今さらそれに戻るくらい、どうってことはない。

薄情なくらい、綺麗に忘れて生きていこう。

その思いを心に刻んだ。


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