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あなたの面影
第13章 笑顔の別れ
一仁さんから預かっているスペアキーを握り締めてマンションの前に立つ。

『お願いっ……』

祈りながらキーを差し込み、捻る。
が、無情にも鍵は回らなかった。
鍵が開かなければ自動ドアも開けられない。

『なんでっ……お願いっ!!』

しかし何度やっても鍵はびくともしなかった。

「そんなっ……」

鍵を変えられたんだ……
なんでそこまで避けるのっ……

苦しくて涙が溢れてくる。

試しに一仁さんの部屋番号を押してコールするが、当然返答はなかった。

一仁さんが戻ってくるまでここで待とうか?
もう九時を回っている。
けど一仁さんは遅いときは深夜零時を回ることだってあった。

それにもしかしたらもう帰っているのかもしれない。

見上げてみてもどの灯りが一仁さんの部屋かなんて分からなかった。

待ってみよう……
私は待つのなんか、得意なんだから。

自嘲して、マンションの入り口が見える場所に立つ。




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