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あなたの面影
第6章 雨が降る金曜の夜
この間、別れ際に教えてもらった電話番号。
私はそれをクリックしていた。
四回目のコールで応答があった。
「はい。名執です」
「あ、あのっ……田仲です。田仲、瑞波です……」
「おお。やっと電話してきたか」
「え? やっと?」
必ず電話してくるだろうと自惚れたような口調が気に入らない。
すべての女が自分になびくとでも思っているような自信たっぷりの言い回しだ。
しかし----
「待ってたんだよ、瑞波が電話くれるのを」
次のその言葉で、情けないことに私の苛立ちは消えてしまっていた。
私はそれをクリックしていた。
四回目のコールで応答があった。
「はい。名執です」
「あ、あのっ……田仲です。田仲、瑞波です……」
「おお。やっと電話してきたか」
「え? やっと?」
必ず電話してくるだろうと自惚れたような口調が気に入らない。
すべての女が自分になびくとでも思っているような自信たっぷりの言い回しだ。
しかし----
「待ってたんだよ、瑞波が電話くれるのを」
次のその言葉で、情けないことに私の苛立ちは消えてしまっていた。