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《番犬》が女に戻るとき...
第9章 おしおきの時間
「暴力沙汰のつぎは警察沙汰かよ…」
「通報しないほうが良かった?」
「…っ…別に…」
ただ…通報してたんなら、警察がくるまでおとなしくしとけば良かっただろ?
茜は心の内でそう思ったが
口には出さないことにした。
警官が零の怪我に気がつき病院に連れていこうとしたのだが、零はぜっったい嫌だと駄々をこねる。
代わりに現れた救急隊員が
零の右手を包帯でぐるぐる巻きにしていった。
「俺より、あの人を」
零はそう言って梗子を見る。
多くのショックですっかり疲れた様子の彼女は、心配する茜に無理に笑顔をつくっていた。
「──わかった、ではあの子は我々が自宅まで送らせてもらうよ。…君たちはどうする?」
「…私たちはいい。勝手に帰りますから」
「そうか…気を付けて帰りなさい。明日以降に、詳しい事情を聞くことになると思うが大丈夫かね?」
「…大丈夫です」
警官のおじさんは二人から梗子をあずかり、君たちも早めに帰りなさいと言い残してビルを出ていった。