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《番犬》が女に戻るとき...
第12章 そういうの いらない
自分の右手を包帯越しに掴む二つの小さな手を
零は目を細めて見つめる。
「付き合ってください…篠田くん」
「──…!?」
「いまはわたしのこと眼中にないかもしれないけど…!! これから付き合って、一緒にいれば何か変わるかもしれないから…っ」
「…付き合う?」
「…それとも他に好きな子がいるの?」
零のことを諦めきれない絵美が
意を決して告白した。
一緒にいれば、好きになってくれる日がくるかもしれない。あなたにとって特別な存在になれるかもしれない。
“ もし誰か他の想い人がいないなら、わたしにだってまだチャンスはあるはず…!”
普段は大人しい目な性格の彼女だが、恋になると意外にもたくましかったようだ。
「──…」
零は顔をあげて彼女をもう一度伺った。
真剣な目が自分をじっと見つめてくる…
力強く手を握ってくる…。
──彼女の本気が零に伝わってきた。
「君は俺と付き合いたいの?」
「…うん…!! 」
彼女は大きく頷いた。