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《番犬》が女に戻るとき...
第13章 球技大会 ~汗と鉛と、苛立ちと~
「──…」
スウ──ッ
サービスゾーンに立つ茜がボールを低く構えると、周囲の私語がやみ沈黙の一瞬ができあがる。
そしてボールがゆっくりと放り投げられ
落ちてくるタイミングで彼女のサーブが炸裂する。
「…くる!──…ッ、…!!!」
アタック並みの速さで相手コートの地をとらえる茜のサーブ──
誰もまともに反応できない。
得点の笛が鳴り
周りの歓声がどっと盛り上がりを増した。
「すごい!格好いいッッ///」
「これで連続5点じゃない!? 茜さま~!」
「久藤、そのままやったれー!」
声援を送る人々の中には女子だけでなく男も混ざっていた。
体育祭の時もそうだったが、スポーツの大会となると男達の熱さは尋常でなく…番犬だろうが誰だろうが全力で応援するのだ。
5回連続でサーブをした茜は別の子と交代する。それが今回のルールだからだ。
茜は自分のポジションであるフロントゾーンに移った。
「行けー久藤!次はアタックだ」
「うおおー!」
4組男子の野太い声援…
「──…む」
それは別のコートでバスケをしていたこの男にも届いていた。