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《番犬》が女に戻るとき...
第14章 水も滴るイイ女
「頼むから…っ」
「……」
「私を女に戻さないでくれ!」
──弱かったあの頃に戻さないでくれ
茜は零を見ることなく、更衣室の床に座ったまま声を荒げていた。
「…お前への歓声が、いちいち耳に入るんだ…」
そうだ
球技大会中にピリピリしていたのは私の方だ。
「告白されてるのも苛々するし…っ、振り回されている自分に腹がたって仕方がない…!!」
「──…」
「これじゃ只の女なんだよ!──こんな気持ちは…私にはいらないんだよ…っ」
自分でも何が言いたいのかわからない。
これこそ駄々をこねる我が儘な女だ。
勝手に振り回されて…何も悪くない篠田に当たり散らしている。
「遊びのつもりなら私の前から消えてくれ」
「……!」
「頼むから、これ以上…私に関わらないでくれ」
顔は見れない。
扉を開けて前に立つ男の足元を見て茜は言った。