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《番犬》が女に戻るとき...
第14章 水も滴るイイ女
《 私の前から消えてくれ 》
そう言われた零は静かに彼女を見下ろしていた。
彼が何も言わないので、茜も同じように口を閉ざした。
言い過ぎた自分に苛立ちがつのる。
無様この上ない…女のヒステリーほど面倒臭いものはないだろう。
「………」
「……っ」
「…ずるいよね茜サンは」
「──?」
「…不意討ちのトラップ仕掛けてくるんだもんね。…それってわざと?無自覚?──…どっちにしてもずるいよ」
零は、まだ濡れた自分の髪をポリポリと掻く。
茜の見ていないところで困った表情を見せてから、その場に膝をついて座った。