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《番犬》が女に戻るとき...
第17章 ライバルな転校生
「いい香りがすると思ったら篠田くんね!」
「ニャー、ニャーニャー」
和室から出てきたのは寝起きの母と猫たち。
「いけないいけないっ、顔洗わないと恥ずかしいわ」
茜の母は二人の前に現れたかと思えば、乱れのある髪を手で押さえながらあっという間に洗面所に駆け込んでいく。
少しして戻ってきた時には薄く化粧もほどこしていた。
零はそれに合わせて、彼女の朝食もテーブルに準備する。
「おはようございます」
「今日もありがとう篠田くん。でもここまでしてもらっちゃうのは…」
「いいんですよ、俺はネコたちに会いに来てるだけです。やあ、ブチ ミケ クロ、おはよー」
そう言って零がレンジから取り出したのはネコ用のおやつ。
皿に盛られたご飯に、警戒心の強いはずのネコたちも一目散だ。
「あ、それ…っ、私のささみをまた使ったな!?」
おかわりの米を茶碗によそいながら、ネコががっついているその鶏肉を見て茜が言った。
「猫はキャットフードでいいだろ!?」
「手作りのほうが気持ち伝わるでしょ?大丈夫だよ、茜さんのお弁当もちゃんと作ってあるから。毎日ささみは流石に飽きただろうし」
「お前…っ」
母さんの前で余計なこと言うなよ?
急いでご飯をかきこむ茜。