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《番犬》が女に戻るとき...
第18章 おちゃらけプリンスの正体
第三者の目から見てみよう──。
零とハルクは似た者同士でもあった。
《どうにも掴めないイケメン》
二人の印象はこの一言につきるのだ。
空気を読まない気ままさも、気の抜けた話し方も。
なにより他の男子生徒と大きく線を引くのは
茜に対する執着だった。
「茜さんの周りが、君のせいで騒がしいんだ」
「へぇ、嫉妬してるの?」
「嫉妬?──ふ…、そんな」
嫉妬だって?
零はあくまでも余裕に構えている。
「格下の相手に嫉妬なんて、おかしーでしょ」
「…ワォ 凄い自信」
二人はもう互いを見てはいなかった。
何処にあるかわからないジャージを探して各々の場所をあさっている。
それでも意識は相手に向けられたまま…
鋭く辺りの空気をはりつめさせながら。