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《番犬》が女に戻るとき...
第18章 おちゃらけプリンスの正体


「ふた月ほど前かな。青崎の校内でも有名な不良グループが、なんと凰鳴の女子にこてんぱんにされちゃったんだよ」

「…?」

ふた月前と言えば梗子が連れ去られたあの一件。
ハルクが話しているのはその事件についてだろう。


「彼等の横暴ぶりは校内外とわず酷かったからね…。僕の気分はとてもスッキリ!その噂の《番犬》に興味をもった」

「…で、茜さん狙いで、転校してきたの?」

「まぁね、──それで来てみたら彼女は想像通りの…いやそれ以上に型破りなヒトだったサ」


男嫌い、を全身からにじみ出し
飛びつく隙をまったく与えてくれない。

全ての生徒や教師から明らかに特別視された存在なのに…誰とつるむこともせず " 孤高 " を貫く。


──完璧

まさに完璧な存在なんだ。



「僕はアカネが欲しいんだ」


「…格下クンじゃ、無理だよ」


「キミにはできたのに?」


「──…は?」


「アカネの鉄壁もキミにだけは例外みたい…。それくらいは僕も気付いてるよ。

──…あ、ジャージってこれじゃない?」



ハルクが引き出しから紺色のジャージを引っ張り出す。

無理やり取り出したせいで中の服がぐちゃっとしたけれどハルクは気にとめないで、その左側を探していた零に差し出した。



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