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《番犬》が女に戻るとき...
第23章 夢を語る瞳
彼女を追いかけたハルクが同じように角を曲がると、突き当たりの図書室に駆け込む梗子の後ろ姿があった。
左手の腕時計を確認すると──
閉館時間ぎりぎりだ。
ハルクは静かに図書室に入る。
読書の嫌いな彼がこの場所に来たのは初めてで、仕組みもよくわからない。
入り口横の受付カウンターには誰も座っていなくて「返却はこちらにお願いします」と書かれたポストが置いてあった。
“ …どこに消えた?”
簡単に見渡す限り、人の影が見当たらない。
平行に立ち並ぶ本棚が続く景色を前にして、ハルクは徐々に面倒臭くなってきた。
何を思ってあの女についてきたのか。
さっさと課題を提出して帰ればいい…。
彼はきびすを返し、カウンターの前を通り抜ける。
……その時
「……?」
ガタガタと何かを動かす音が、右奥の辺りから聞こえてきた。