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《番犬》が女に戻るとき...
第23章 夢を語る瞳
「今の女は…」
ふわりと甘いシャンプーの残り香──。
脇目もふらず廊下の角を曲がって行ったのは、この学校の生徒会長だった。
「ハナサキ、キョウコ…?」
ハルクを除いてみな下校したものと思っていたが、まだ残っていた生徒もいたらしい。
何か急いでいるように見受けられたが、彼女はどこに向かったのだろうか。
「──…」
何故かは自分でもわからないが、ハルクは梗子の後を追って、昇降口とは逆の方向に歩いてゆく。
──ハルクは転校してきた当初
生徒会長である梗子が、凰鳴のトップたる存在だとふんでいた。しかし茜について知ったことで、実質的に力を持っているのは梗子ではなく茜だと判断したのだ。
つまり梗子は…自分にはたいした力もないくせに、茜を利用して学園を纏めているようなもの。
ハルクの持つ梗子への認識はそんなところだった。