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《番犬》が女に戻るとき...
第23章 夢を語る瞳
「…っ…と」
彼女が取ろうとしていたのは、けっこうな厚みの本であった。
そもそもその本棚には図鑑のようなサイズの書物がずらり並んでいる。
脚立を使うことで本に手は届いていたのだけれど、どうやら梗子は引っ張り出すのに苦労しているらしい。
「……」
「ん…もう少し…っ」
「──…」
「……ぁッ」
「…!?」
指をかけて手前に引く。
それに成功した彼女は気を抜いたのか…
重たいその本は梗子の手から滑り落ちた。
焦った彼女はバランスを崩し
脚立の上の身体が斜めになった。
グラ . . .ッ
「──…ッッ…‥‥、…?」
頭の上に落ちてくる本。
反射的に目を閉じる梗子──。
「…っ……ハァ」
「…! あ…あなたは…!?」
彼女は怪我を覚悟した。
けれど梗子の身体は、突然現れた男の腕に受け止められた。