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《番犬》が女に戻るとき...
第23章 夢を語る瞳
「興味半分の《好き》で…将来を決めるのかい? せっかくの土台をムダにして、…ハッ、呑気だね、この学校の会長は」
「…そんなことはないわっ」
皮肉を込めて笑われ、さすがにムッとした梗子。
ぷっくりとした唇を尖らせて彼を見上げた。
「興味半分なんかじゃない。それに…好きだからこそ本気になれるのよ」
「すぐに飽きるさ」
「飽きないわ」
双方が譲らない。
「なら聞きますけど、ハルク君の将来は? 夢も持たずに…お父様のホテルを継ぐというの?」
「…俺の家のこと、知ってるんだネ」
「……、生徒会長ですから」
微笑みの消えた彼女は
胸を張りはっきりと言い切る。
夢を語っていたその瞳の…その輝きは、今も変わらず澄んでいた。
彼が答えようとしないので
梗子は聞くのを諦め、本を抱えて図書室を立ち去ってしまった。