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《番犬》が女に戻るとき...
第26章 訣別
「──…」
けれど梗子は、それは違うのだと
茜に伝えたかった。
「──わたしは…さ、茜ちゃん。小さい頃からずっと守ってもらっていたのよね」
「……」
「幼稚園で男の子たちに意地悪されて、それは小学校でも同じで……、でも、小学校には隣のクラスに茜ちゃんがいた」
──…
『誰!? 花崎さんの道具箱にセミの脱け殻いれたの』
『ドッジボールはしたくないって言ってるじゃん!花崎さんを誘うのは諦めてさっさと行きな』
『なに群がってる、男子たち──勉強を教えてほしいって?なら私が代わりに教えてやるから…こっちきな…!』
意地悪…というより、ちょっかい。
いつしか男の子が苦手になったわたしを、茜ちゃんが庇ってくれた。
だからわたしは茜ちゃんを頼っていた。
彼女の後ろにいれば立ち向かってくれる。困ったことがあれば解決してくれる。
そして──
こんな素敵な人に守られている自分に、わたしは酔っていたのかもしれない。