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『うぅ』としか鳴けない
第12章 父の決断
『灯子、行ってくるよ。』

『ええ…』

『心配しないで。僕のありのままを、ちゃんと見てもらうよ。』

『はい。』



金崎琢磨。

この世に生を受けて36年。初めて「緊張」に足が震えた。24歳で会社を立ち上げた時、野心で武者震いがしたこととは違う緊張で、吐き気と目眩を覚えた。


きっと、この数日間、娘に食らい付いた得体の知れない男…つまり、俺を徹底的に調べあげたことだろう。

溺愛に近い寵愛を注ぎ、悪い虫を近付けないように育てられた、言ってしまえば、「超お嬢様灯子」。

切り刻まれてしまうかもな……


……………………………


「カランカラン…」

『はい。金崎様?』

『はい、金崎琢磨です。』

『お待ちくださいませ。』


SPに囲まれ、屋敷へと通された。




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