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『うぅ』としか鳴けない
第12章 父の決断
通された部屋は、主人の書斎。といっても 応接間の様な部屋。

鋭い視線が俺に向けられると……

「ボスッ!」

鈍い音と共に俺の顔は右に大きく歪み、その勢いのまま倒れ込んだ。

SPは、俺が反撃しないことを確認すると、部屋から出て行った。
大方、ドアの向こうに立っているだろうことは予測がついた。


『いきなり殴って悪かったね。まあ、座りなさい。』

『はい、失礼します。』

『私を知っているか?』

『はい、芝崎グループ代表取締役社長、芝崎漣太郎(しばさきれんたろう)氏57歳。』
『そうだ、57になった。私が34にして初めてできた子供が灯子だ。』

『はい。』

『お前にもいずれ子供が出来たらわかる。男親がどんな気持ちで、娘を奪っていく男を前にするのか。』

『はい…』




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