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『うぅ』としか鳴けない
第16章 結婚への道のり〜母の思い〜
母親の勘というものは、侮れない。

琢磨の生い立ちも、今の佇まいも、不器用だけど、精一杯生きてきた「男」を感じさせた。

数学は得意だけど国語は苦手、そんな生き様を母は見逃さなかった。

人生に於いて、仕事で成功するためには、数学のような、答えが一つしかない人間では限界がくる。

そこに、国語の様に、あまたの答えを見出だせる手腕や関わりが必要だ。

さしずめ、琢磨が数学なら、灯子は国語、と、母は直感したのだった。

二人だから成功するのだ。ならば、灯子の墨は、父親には知られたくない。隠し通して結婚してほしかった。

しかし

父親に知れるところとなった今、母として、苦悩は募っていった。

父親をよく知る母ならではの苦悩だった。




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